15.春日大社
春日大社
奈良市最大の神社である春日大社。その創建は現在から1300年ほど前の奈良時代に遡ります。創建の由来にはいくつか説があるようですが、藤原氏一族が大きく関わっていたことは間違いないようです。
平城京から平安京に遷都され時代は「平安時代」に代わりますが、平安時代の前半に絶大な権力を誇り奈良時代以上の栄華を極めた藤原一族の氏神である春日大社はむしろ発展を遂げていくことになります。大物貴族などもそろって「春日詣」をするようになり、藤原氏の勢力に合わせるかのように一層ビッグな存在になっていった春日大社。そんな流れの中で、一方では藤原氏の「氏寺」であるという関係もあり、興福寺との関係性も次第に強まっていくのがこの時期でした。
平安時代が終わり鎌倉時代には、「おん祭」という象徴的行事を軸に、奈良における春日大社の存在感はさらに強まったと言えるものでした。
蘇我氏が権勢を極めた時代を大化の改新で一気に滅ぼした、中大兄皇子と中臣鎌足。中大兄皇子はその後天皇となり、鎮護国家への礎を築き上げていきました。一方の中臣鎌足は藤原姓を与えられ、その後、平城・平安京の時代の実力者として君臨しました。その藤原氏は、氏神として春日大社を、氏寺として興福寺を持つ豪族中の豪族です。今では、その当時を偲ばせながらも、鹿と遊べる小中学校の修学旅行先としても人気が高い。春日大社と興福寺は古代の権力者藤原氏を思いながら、セットで奈良旅行に入れておきたいですよね。 |
春日大社南門から入っていくこととしましょう。
春日大社の鳥居です。
常陸(茨城県)の鹿島から祭神としてお迎えしたのが、春日大社の始まり。その際に、祭神が白鹿に乗ってきたという言い伝えから、春日大社は「鹿」を神使としています。その数は奈良公園全体で1380頭ほど。ここまで深く鹿と人が共生する世界は奈良にしかありません。ちなみに奈良公園に生息する鹿は国の天然記念物。決して飼育しているわけではなく、野生動物です。
春日大社は藤で有名です。藤は境内随所に古くから自生し、藤原氏ゆかりの藤ということもあり、次第に定紋化されました。とりわけ御本社の「砂ずりの藤」は、名木として知られています。
春日大社砂ずりの藤(残念ながら、この季節(冬)藤に花は咲いておりません。
春にはこのように咲くようです。
春日大社御本殿は国宝で、平城京鎮護のため、まず第一殿にを鹿島神宮(茨城県)から 、それから数十年後に香取神宮(千葉県)から第二殿、枚岡神社(大阪府)に祀る藤原氏の遠祖である、第三殿と第四殿の四柱を祀る四所神殿の創建をしました
春日大社特別参道を通るコースが設けられていました。この通りには、見ての通り、柱から屋根まですべて、「朱」色でありまして、誠に美しゅうございました。 |